口腔扁平苔癬 とは?

口腔扁平苔癬とは

口腔扁平苔癬とは、口腔粘膜の角化異常を伴う
原因不明の慢性炎症疾患です。
角化異常が起こると、
口内の粘膜細胞が過剰に角質化することで
粘膜が厚くなり、異常な固さとなります。
これにより、口内に痛みやしみるような感覚、
口内炎、舌の痛み、味覚障害などの症状が
現れることもあります。
発生は0.1~4%程度で、中高年の女性に多く
確認されています。
また、可能性は低いものの癌化する可能性もあり、
口腔潜在的悪性疾患(※1)の一つとして
数えられている病気です。

臨床的に明確な前駆病変(病気の前兆としてあらわれる異常な症状や所見)であるか正常粘膜であるかに関わらず、口腔における癌の発生リスクがある臨床的状態のこと。
口腔潜在的悪性疾患の種類:口腔潜在的悪性疾患の種類:紅板症、紅白板症、白板症、口腔粘膜化繊維症、先天的角化異常症、無煙タバコ角化症、逆喫煙による口蓋角化症、
慢性カンジダ症、扁平苔癬、円板状ループスエリテマトーデス、梅毒性舌炎、光線性角化症(口唇のみ)

どんな症状がある?

こんな症状、ありませんか?

  • 頬粘膜や歯茎などに、白く変色がある
  • 線状、網目状、レース状、
    環状などの白い斑点がある
  • 赤くなっていてびらん(ただれ)がある
  • 口内の荒れや刺激痛、灼熱感がある

口腔扁平苔癬と言っても、
上記のように発生する場所や症状はさまざまです。
また、自覚症状がない場合もあり、症状に波がある病気です。
自然に病変が消えたり、症状が治まったりすることもありますが、再発することもあります。
完治することは難しいため、症状を安定させるためには、専門医の定期的な診察や口腔ケアが必要です。

原因と診断方法

口腔扁平苔癬は原因不明の慢性炎症疾患

原因については明確にはわかっておらず、遺伝的、免疫学的、歯科金属による接触性アレルギー、C型肝炎ウイルス感染、内分泌異常、精神的ストレスなどの要因が関係しているとされています。

診断にはいくつかの検査を用いる

他の癌化しやすい疾患との鑑別も必要なため、診断には病理組織検査や血液検査、アレルギー検査(金属パッチテストなど)などが用いられます。口腔病理検査では、発症部位の組織を切り取り、口腔扁平苔癬の特徴的な病理組織所見がみられるかどうかを検査します。

プチ情報

病理組織検査について

病理組織検査は、病変部位から採取した組織サンプルを顕微鏡で観察し、疾患の診断や病気の状態を詳しく調べるために行われる検査法の一つです。 口腔扁平苔癬の病理組織検査では、上皮下にリンパ球の帯状浸潤がみられるかなどを検索します。通常1〜2週間で結果が分かり、これらの情報を元に、専門医は診断を行ったり、治療方法を考えたりします。

治療方法

確立された治療法はまだない

口腔扁平苔癬は原因不明の疾患であることから確立された治療法はまだなく、ステロイド軟膏を病変部に塗布したり、洗口剤(うがい薬)でのうがいや光線療法などの対症療法が用いられます。金属アレルギーが考えられる場合には歯科用金属の除去が検討されたり、薬剤が誘因と思われる場合には薬剤の中止や変更が検討されたりします。また、口腔内の清掃が不十分な状態が続くことにより、病態が悪化することもあります。
生活習慣の改善や、口腔内を清潔に保つなどの自己管理が症状の改善においてもとても大切になります。

定期的な経過観察が重要

口腔扁平苔癬は、癌化するリスクがあるとされています。そのため、治療には専門医の指導のもと、定期的な検査やフォローアップが必要です。定期的な診察を受けることで症状の悪化を予防し、癌化の早期発見が可能となります。

セファランチン®を使用した新たな治療法

セファランチン®は、自然から取れる物質で、アレルギーを抑える効果や免疫機能を高める効果があり、日本では円形脱毛症などに使われている薬です。実は口腔扁平苔癬に対しては、まだ国内での使用が認められていません。しかし、経験的に症状を和らげる効果があるとされており、現在、治験者を募集しその効果の研究が進められています。

新たな治療法を詳しく知る

Q&A

症状があらわれた時に感じる疑問や
不安にお答えいたします。