口腔がん・口腔腫瘍

口腔がん・口腔腫瘍

口腔領域にできる悪性腫瘍(がん)は、その多くが扁平上皮癌といわれる癌です。口腔内のどの部位にも発生する可能性がありますが、最も多いのは舌癌です。そのほかにも肉腫や歯の元の組織から生じる癌(歯原性癌)、唾液腺に生じる癌(唾液腺癌)なども口腔領域に発生します。 口腔がんの初期の症状としては、痛みを認めることは少なく、治りの悪い口内炎やしこりとして認められます。進行してくると痛みや出血、運動障害や開口障害、嚥下障害などが出現してきます。

口腔がんの治療法としては、手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)が代表的なものです。これら治療法を進行状態により組み合わせて行うことになります。このなかでも、手術療法が治療の中心となります。現在は再建技術の進歩もあり、進行がんにおいても広範囲の切除が可能になったため治癒率は向上しています。ただ、当然のことながら、進行した癌にくらべて、早期の段階で発見され、治療したほうが治癒率は高いため早期発見・早期治療が重要となってきます。早期の口腔がんであれば手術後の機能障害(咀嚼や嚥下、会話)などはほとんど認めませんし、整容的にも影響が出ることはほとんどありません。 手術療法を望まれない方や手術が不可能なほど進行した方、ご高齢で体力的にも手術が困難な方においては放射線治療や抗がん剤治療を行うこととなります。当科では、放射線治療科と協力し、癌に集中的に放射線を照射し正常組織にあたる放射線を極力減らすことのできる放射線療法を採用しています。また、より治療効果を高めるため抗がん剤の併用を行うことも多いですが、抗がん剤の投与方法もより効果を高めるために超選択的動注化学療法といわれる方法を行っています。これは、癌を栄養している動脈にカテーテルと呼ばれる管を挿入し、癌に高濃度の抗がん剤を効率的に投与する方法です。この方法によってかなり進行した癌の方でも、手術をせずに治癒することが多くなってきました。 近年では分子標的治療薬と呼ばれる従来の抗がん剤とは異なった作用機序を持った薬剤も使用できるようになってきています。それにより、これまで全身状態により治療が困難であった方や様々な治療を行っても効果がなかった方においても治療ができるようになってきました。

また、口腔内には前癌病変といわれる近い将来癌になる可能性の高い、白板症や紅板症と言われる病変も存在します。これらの疾患は、放置しておくと経過とともに癌化のリスクが高まる疾患とされており、発見された段階で早期に治療を行うことが必要です。 口腔内に何か異常を感じた際には早急にお近くの歯科医院や病院の口腔外科を受診することが重要です。また、日頃から口腔がん検診や口腔健診を受けられることをお勧めします。

口腔がん・口腔腫瘍の専門外来としては、木曜日の午後に桐田忠昭教授、山川延宏准教授、柳生貴裕講師、上田順宏学内講師、中村泰士助教が中心となって診察を行っています。

 

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歯科口腔外科・口腔ケア外来|奈良県立医科大学附属病院 (naramed-u.ac.jp)
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