スポーツ歯科

スポーツ歯科

現在、スポーツは生活の一部として定着しており、高齢化が進む日本において、健康増進のためスポーツの果たす役割はますます重要となっています。また、国際的なメジャースポーツ大会が続々と日本で開催されることが決定しており、スポーツに関わる歯学サポートが注目されています。
幅広い年齢層でスポーツが楽しまれる一方で、スポーツ外傷も急増しています。スポーツを楽しむためには、スポーツ外傷に対する正しい知識と対処法を持ち、怪我を予防していく事が必要です。特にコンタクト(接触)スポーツでは、脳震盪を含め顎口腔領域の受傷の発生率が高くなります。それらに対して防止策をたて、治療するのが、スポーツ歯科外来の目的です。
スポーツ歯科外来の診療内容は、各種競技のプロ・アマのアスリートからスポーツ愛好家までの歯の健康の維持・管理・回復・増進を図ることです。むし歯、歯槽膿漏などの歯科疾患全般に関する治療相談のほか、顎顔面や歯の外傷防止のためのスポーツマウスガード(マウスピース)やフェイスガードの作製、スポーツ外傷事故による歯の破折や脱臼に対する処置や顔面骨骨折の手術も行っています。

図1
野球ボールによる口唇裂傷と歯の脱臼
図2
野球ボールによる歯槽骨骨折(受傷時)
図3
野球ボールによる歯槽骨骨折(整復し線副子で固定)
図4
受傷しやすい前歯の部分はラミネートし十分な厚みを確保
図5
噛み合わせは咬合器で調整
図6
カラーは各種取り揃えており
名前やチーム名を入れることもできます

スポーツによる顎顔面外傷を防ぐためには、マウスガードは最良の道具です。現在、アメリカンフットボール、ラグビーフットボール、アイスホッケー、ボクシング、キックボクシング、空手道、総合格闘技、ラクロス、インラインホッケーで装着が義務化されており、サッカー、野球、バスケットボール、ハンドボール、ボート/カヌー、ホッケー、相撲、レスリング、テコンドー、柔道、モータースポーツで装着が推奨されています。また、顎顔面外傷後の受傷部保護には、フェイスガードが有効です。スポーツ選手にとって、どのようなマウスガード、フェイスガードが最適かということを念頭にいれて、診療にあたっています。そのために以下のことを重要視しています。

1.咬み合わせ
2.性別
3.年齢
4.生活環境とスポーツ環境
5.競技レベル
6.競技スポーツの特性とポジション
7.競技規定とマウスガード、フェイスガードの素材

これらを総合的に考慮した上で、個々の選手にあったマウスガード、フェイスガードをオーダーメイドにて製作しています。

図7
下顎骨骨折のCT画像
図8
中顔面骨折の間欠的整復固定後:
チタンプレート(矢頭)と吸収性プレート(矢印)による固定

図9
CAD/CAMにより作製した
顔面模型

図10
下顎骨骨折のフェイスガード
図11
中顔面骨折(左:頬骨上顎複合骨折,右:鼻骨骨折)の
フェイスガード

また、私たちは噛み合わせとスポーツパフォーマンス(競技能力向上)との関係を奈良県立医科大学の第一生理学教室と共同研究しており、マウスガードの動体視力に対する影響を神経生理学的手法を使って、バックグラウンドメカニズムの調査、スポーツ選手の咬合解析、競技種目や競技特性によるマウスガード外形(材質、形態、厚み)の基準化をテーマに日々研究しております。

競技としてのスポーツ、レクリエーションとしてのスポーツ、また健康増進のためのスポーツと、取り組みかたはさまざまですが、私達は、各種競技のプロ・アマのアスリートから一般スポーツ愛好家が生涯を通じてスポーツを楽しめるために少しでも力になれればと思い、診療にあたっています。

<注意> マウスガード(マウスピース)は保険給付対象外であり、自費料金を頂きます。使用する材料や製作法などにより料金設定が異なりますので、ご相談ください。

担当は以下の通りです。

・上田順宏助教
日本口腔外科学会認定医・専門医
日本スポーツ歯科医学会認定医
日本スポーツ歯科医学会認定マウスガードテクニカルインストラクター
日本体育協会認定スポーツデンティスト
日本顎関節学会認定医・専門医
・今井裕一郎非常勤講師
日本口腔外科学会専門医・指導医
日本スポーツ歯科医学会認定医
日本スポーツ歯科医学会認定マウスガードテクニカルインストラクター
日本体育協会認定スポーツデンティスト
・畠中利英技工士
日本スポーツ歯科医学会認定マウスガードテクニカルインストラクター

図12
フェイスガードを装着して競技復帰
 

初診日時のご案内

歯科口腔外科・口腔ケア外来|奈良県立医科大学附属病院 (naramed-u.ac.jp)
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受付時間:午前8時~午前11時
診療時間:午前9時~
休診日:土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)