顎顔面インプラント

顎顔面インプラント

インプラント(Implant)とは植え付けるということを意味し、歯科の領域ではインプラント治療は一般的に人工歯根治療のことを示しています。通常、歯を失った場合には、ブリッジ(残った歯を橋渡ししてつないだもの)や取り外しの入れ歯を入れることとなります。しかしその場合は、周囲の歯に負担をかけてしまいます。インプラント(人工歯根)治療では歯の欠損部の骨にインプラントを埋め込み、その上に人工の歯を装着します。

奈良県立医科大学口腔外科学講座では、数多くの種類のインプラントの中でも主に1950年代から基礎研究と臨床研究が十分に行われているオッセオインテグレーテッド・インプラント(骨結合型インプラント)システムを選択し使用しています。このインプラントシステムは世界中の大学病院で最も安全で確実なものと評価され、1965年以来継続して使用されています。

当科でのインプラントのはじまりは、悪性腫瘍等により切除した顎骨を再建し、そこにインプラントを植立し口腔の機能回復をはかることにあり、多くの患者さんの社会復帰を助けてきました。最近では患者さんや他医療機関の先生からの要望もあり、一般の歯科インプラントも手がけるようになりました。1998年12月にはこうしたインプラント治療の優れた治療実績と研究業績から、厚生労働省より、インプラント治療に一部健康保険が使える、高度先進医療(インプラント義歯)実施機関として認定されました。また2012年4月からは、先進医療の保険導入が開始し、腫瘍、顎骨骨髄炎、外傷、口唇裂・口蓋裂などにより、広範囲な顎骨欠損または歯槽骨欠損(歯周疾患および加齢による歯槽骨吸収は除く)症例などにインプラント治療が、保険で受けることが可能な施設となりました。
 

対象疾患

主に一般開業医では扱えない、骨の移植を必要とするような症例や、内科的疾患を有するような症例、また他病院での予後不良症例等を扱うことにしておりますが、一般の歯科インプラントによる治療や相談にも応じております。また、通院が困難な場合等も含め、近隣の顎顔面インプラント医を紹介するなど連携をとって対応していますので、お気軽にご相談ください。
 

費用について

基本的には保険治療対象外です。したがって、診察料、検査料、X線撮影料、投薬、注射・処置等も自費診療に含まれます。顎骨や歯の欠損状態によって義歯の設計が変わってきますので価格は一定いたしませんが、大学病院としての私費料金を設定していますので費用についてはご遠慮なくおたずねください。ただし、先進医療の適応症に該当する場合は、インプラントの手術料や義歯、再診料、検査料、X線撮影料、投薬、注射・処置等のすべて健康保険が適応されます。
 

インプラント治療について

インプラントの治療においては術前の診査診断がとても大切で、インプラントを埋め込む顎骨の骨質や粘膜の状態だけでなく、糖尿病や心疾患などの全身疾患に関する検査も不可欠となります。また虫歯や歯槽膿漏の歯がある場合はインプラント手術前にきちんと治療しておかなければなりません。通常インプラントと骨がなじむ(治癒する)のに3か月から6か月程の期間を必要とし、インプラント治療を開始して歯が入るまでに下顎骨で半年、上顎骨で8か月程かかります。しかし、症例により早期の咬合(かみ合わせ)改善が可能な場合もあります。またインプラント治療後の長期間の高い成功のためには、健康の維持と日常の口腔ケア(歯ブラシ)およびメンテナンス(定期健診)が必須となります。

担当は、堀田聡講師、中上佳寿彦診療助教、今田光彦病院助教です。
 

参考写真

3次元実態モデルを用いたモデルサージェリー
(外傷性骨萎縮症例)
simplantによる手術シミュレーション(下顎歯肉がん 腓骨再建後症例)
 

初診日時のご案内

歯科口腔外科・口腔ケア外来|奈良県立医科大学附属病院 (naramed-u.ac.jp)
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休診日:土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)